【小説感想】コーマック・マッカーシー「すべての美しい馬」 初読では、びっくりするくらい話を読めていなかった。
すべての美しい馬 (ハヤカワepi文庫) 作者:コーマック マッカーシー 早川書房 Amazon コーマック・マッカーシーの小説は、初めて読んだあとたいてい続けてもう一度読み返すのだが、「すべての美しい馬」は一度しか読まなかった。 親友同士二人の少年が家出して、牧場主の娘と身分違いの恋に落ちて引き離される。 あらすじだけを聞くと驚くくらい単純な、通過儀礼的青春、成長小説である。だからその外形だけを読み取って「趣味じゃないな」と思ってしまったのだ。 今回読み返して気付いた。 「すべての美しい馬」は「馬が魂の暗喩になっている」とわからないと、意味がまったく通じない話だと(つまり初読の時はまったく意…