「機械仕掛けのカンパネラ」番外編・恋ではなかったはずなのに
「武蔵が好きなんだ。だから、僕とつきあってほしい」まさか七海から恋心を告白される日がくるなんて、夢にも思わなかった。武蔵にとって彼女は恩人の娘である。その恩人が自分のせいで亡くなったことに責任を感じ、天涯孤独となった彼女と一年半ほど一緒に暮らしたが、そのときはまだプレティーンの子供だったのだ。あれから三年半が過ぎ、再会した彼女は十六歳の女子高生になっていた。見た目はそれなりに女性らしく成長したものの、口を開けばあのころのままで、そのせいか不思議と認識が変わることはなかった。「悪いが、おまえのことを恋愛対象として見たことなくて」「そんなのわかってるよ。これからそう見てくれないかなって話」「…………」そう言われても、冷静に考えてつきあうべきではないだろう。彼女とは親子ほど年が離れているし、何より武蔵はまだこの国に認...「機械仕掛けのカンパネラ」番外編・恋ではなかったはずなのに