断章

断章

周囲が騒がしくなり、凍っていた時間がゆるやかに流れはじめる。「行きましょう。星子ちゃん……」春之介君がそっと声をかけたけれど、星子さんは圭一くんに寄り添ったまま、動こうとはしなかった。「私……まだ、ここにいたい」「星子ちゃん……。でもね」「圭一さんと、一緒にいたいの。これでもう会えなくなるなんて……そんなの嫌よ!」今まで、たくさんの事件に遭遇してきた星子さんだ、ここで離れれば、もう二度と圭一君と対面する機...